【マトリックス通信】 VQは売上原価ではない!?

 

【VQは売上原価ではない!?】
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■□ 戦略MQ会計・DC・マトリックス会計
■□ 社長のための会計学 【 マトリックス通信 】
■■ Vol.284 2012/01/10
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  << もくじ >>
     1. 売上原価って何?
     2. 売上原価を求める公式(売上原価の定義)
     3. 公式の意味するところ
     4. 棚卸しは年1回の儀式
     5. VQは売上原価ではない!?
     6. 原価はなかなかわからない

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┃┃1. 売上原価って何?
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  「売上原価」をネットで検索すると
  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には
  次のように書かれています。

  ◎売上原価(うりあげげんか)とは企業会計で用いられる
   費用区分の1つ。財やサービスを生み出すために直接必要とした
   経費の総称である。
   損益計算書の費用の部に計上される科目群の総称である。
   一般に売上高に連動して費用がかかる変動費である。
   (中略)

  ◎売上高からこの売上原価を控除した額は売上総利益(粗利益)
   として定義され、企業の営業活動においてどのくらい利益を
   あげられるかを概算する際によく用いられる。
   そして売上原価を求める計算式が載っています。

  ◎【当期製造原価】
   = 期首仕掛品棚卸高+当期製造費用−期末仕掛品棚卸高

  ◎【当期売上原価】
   = 期首製品棚卸高+当期製造原価−期末製品棚卸高

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┃┃2. 売上原価を求める公式(売上原価の定義)
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  これを読むと「売上原価」は「会計用語」だということがわかります。
  製造業の売上原価を求める計算式の解説には
  「期首製品棚卸高に当期製造原価を加え、期末製品棚卸高を引く」
  と書いてあります。

  販売業では製造に関する部分はないので
  「期首商品棚卸高に当期仕入高を加え、期末商品棚卸高を引く」
  となります。

  会計における売上原価はこの計算式のとおりです。
  この計算式が「会計における売上原価の定義」です。
  しかしこの説明は、
  会計を学んだことがない人にとって、まったく意味がわかりません。
  私が会計事務所に入って簿記会計を学び始めたとき、
  ある企業の社長から聞かれたことがあります。

  ★ここの(P/Lの)売上原価欄に書いてある金額は
   どうやって計算するんですか?


  じつは、この問いには答えられませんでした。
  「売上原価の計算式を覚えなければ売上原価の説明ができない」
  のです。これが【会計だ!】と思った瞬間でした。

  ★売上原価=期首在庫+当期仕入(当期製造)−期末在庫

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┃┃3. 公式の意味するところ
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  この公式の意味するところは

  ◎会計では実際に売れた分の原価がわかりません。
   そこで売れ残った商品を調べます。
   期首にあった商品に当期で仕入れた商品を足して
   売れ残った商品を差し引けば
   当期に売れた商品の原価がわかるはずです。


  というようになります。製造業では、

  ◎会計では実際に売れた分の原価がわかりません。
   そこで売れ残った製品を調べます。
   期首にあった製品に当期に製造した製品を足して
   売れ残った製品を差し引けば
   当期に売れた製品の原価がわかるはずです。


  このようになります。
  金額ではなく個数にすると、よりわかりやすくなります。

  ◎期首に製品在庫は10個ありました。
   期中で50個作りました。
   売れ残った個数を調べたら12個ありました。
   したがって売れた個数は48個の【はず】です。


  ということを言っているわけです。

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┃┃4. 棚卸しは年1回の儀式
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  売上原価というのは本来、売上と同時に確定します。
  仕入れただけでは売上原価にはなりません。
  会計における棚卸しは、

  ★仕入として一旦損益計算書に「登場」した金額から
   まだ売れていない金額を合計して
   貸借対照表へ「引っ越す」ための一連の処理


  と言うことができます。

  ★「一連の処理」についてはこのようにしましょう!

  これが会計で決められたルールです。
  会計の世界における【期末の棚卸し作業】は、
  けっして経営のため(儲けるため)に行うのではなく
  決算書を作るための年1回の【儀式】なのです。

  しかし、手元にあるものを
  いちいち数えて原価を計算しているようでは
  とても経営はできません。

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┃┃5. VQは売上原価ではない!?
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  では戦略MQ会計における「VQ」について考えてみましょう。
  VQは、ときどき会計用語に置き換えて
  「売上原価」とか「変動費」などと説明されることがあります。

  しかし、会計で定義された「売上原価」とは【あきらかに】
  異なります。
  「VQ」とは「V×Q」のことです。
  PQとVQにおける「Q(数量)」は同じものです。
  ですからVQはPQと対応しています。

  ★VQ=V×Q

  この計算式には「棚卸し」は存在しません。
  売れた分のみが原価です。
  VQは「売上原価」でも「変動費」でもありません。
  難しい会計用語でもなく、定義の必要もありません。
  だから【未来の意思決定】に使えるのです。

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┃┃6. 原価はなかなかわからない
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  よくある原価の話です。

  ○ 請求書が遅くて原価(あるいは仕入)が確定しない
  ○ 商品点数が多すぎて個別の原価なんかわからない
  ○ 製造工程が複雑すぎて原価計算ができない
  ○ 仕入単価が毎回違うので原価が決められない
  ○ 原価がわかる前に客先に見積りを出さなければいけない
  ○ 外注加工費は「V」か「F」わからない?
  ○ 通販部門の全国各地への送料や業者への手数料は?


  こんな悩みをお持ちの方、
  「会計で考える売上原価」から抜け出しませんか。
  社長がほしいのは未来の情報です。

  細かなところにとらわれずに
  もっと「ざっくり」でもいいから
  この先の意思決定に使えるようにしませんか。
  それが「売上原価」ではなく「VQ」なのです。
 

 

 

 


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