【マトリックス通信】 月次試算表の価値

 ■ 合計残高試算表

 

  本来、「試算表(合計残高試算表)」を作成する目的は、
  元帳へ転記した結果が間違いないかどうかを確認するため 、
  つまり、文字通り「試算するための表」でした。

  しかし現在はコンピュータによる会計処理が当たり前、
  当然、目的が変わってきます。


  自社で試算表を作成し月次決算ができる企業以外、つまり、
  会計事務所の手を借りないと試算表を作れない企業では、
  なんのために試算表を作成しているのでしょうか。

      ☆売上を確認するため?
      ☆経費を見るため?
      ☆納める税金が気になるから?
      ☆とくに考えたことはない?
      ☆しょうがなく・・・?…

  理由は様々あるでしょうが、
  会計ソフトにただ仕訳を入力しただけでは、
  経営に活用できる試算表は作れません。
  ですから、会計事務所から届く試算表は、
  その信憑性を検証しなければなりません。

  ただし、会計事務所に依頼することなく自社で作成している場合は、
  「自社の試算表の信憑性」と読み替えてください。
 

  ちょっとその前に確認です。
  出来上がった試算表は税抜きで作成されていますか?

  「税務申告さえすればいい」というような企業は別として、
  経営に使う場合には 「税抜経理」で処理しなければなりません。

  商品や製品の販売戦略を立てる場合、税抜きで計算します。
  商品別や得意先別の売上目標は、当然消費税は含まないはず。
  売上や仕入、経費がすべて税込みでは、
  企業の実態が見えてきません。
 

  ではもし、あなたの会社が「税込経理」を選択している場合、
  納付する消費税は何の勘定科目で処理していますか? 

      ☆もしかして「租税公課」ですか?

      ☆えっ 会計事務所の指導? 
      ☆ではこれは固定費ですか? 

  税込みで作成された帳表や経営分析の結果は、
  経営に活用できないばかりか、
  この先の戦略を考える上で使えないのです。
 
 

 

 ■ 試算表の信憑性

 

  では会計事務所が提供する試算表の信憑性(しんぴょうせい)
  について考えてみます。
  ここでいう信憑性とは、会計事務所が提供する「試算表の品質」
  だと思ってください。

  コンピュータから出力される試算表は、大抵が
  月次のB/SとP/Lです。
  月次決算の有無に関わらず、入力された仕訳データを
  機械的に科目別に集計したものです。


  では試算表の信憑性を順番に見ていきましょう。
  チェックはまずB/Sからはじめます。
  最低限、照合が必要なのは以下の4項目です。

      ・現金
      ・当座、普通などの銀行預金
      ・売掛金
      ・買掛金


  月次試算表に表示されている
  現金や預金の勘定科目の金額が、
  実際の現金有り高や各銀行別の通帳の残高と
  一致しているかです。

  売掛金や買掛金は別途、販売仕入管理などで作成している
  売掛金残高集計表や買掛金残高集計表の残高と
  一致しているかを確認します。


  この4項目を、実際の金額と一致させることで
  試算表の信憑性は50%以上になります。
  「なぜかって?」仕訳伝票を1枚1枚見ていくと、
  右か左のどちらかには、かなりの確立で
  上記の4つの勘定科目が出てきます。

      ☆現金(預金)で買いました
      ☆現金(預金)で払いました
      ☆現金(預金)でもらいました
      ☆現金(預金)を引き出してきました
      ☆売掛金を回収しました
      ☆買掛金を支払いました

      ☆売掛金で売りました
      ☆買掛金で買いました


  ここで重要なのは、日々の会計データを作成する上での
  合理的なチェックの仕組みが、
  日常の経理業務に組み込まれているかです。
  これらの指導を一切しないで、毎月ただ現金預金の残高を
  照合していくだけの会計事務所は、まず失格です。

  「えっ、ただ伝票を持っていくだけ?」

  それは税理士報酬の値下げ交渉の材料になるかもしれませんね。
 
 

 

 ■ 試算表の信憑性(その2)

 
  会計ソフトを使っている企業では、 月次決算の有無に関わらず
  入力された仕訳データは機械的に各勘定科目別に集計され、
  そして月次のB/SとP/Lが自動的に作成されます。

  しかし、売上や仕入がいくら正確に集計されていても
  肝心な売上原価がいい加減では、
  表示される損益はまったく無意味なものになってしまいます。


  では早速、試算表の品質チェックです。
  B/Sの「棚卸資産」に表示されている以下の勘定科目は
  毎月金額が変わっていますか?

      ☆小売、卸など販売業での「商品」勘定
      ☆製造業での「製品、原材料、仕掛品」勘定
      ☆建設業での「材料、未成工事支出金(仕掛工事)」勘定


  P/Lの「売上原価」や「製造原価」に表示されている
  次の勘定科目は毎月金額が変わっていますか?


      ☆「期末商品棚卸高」勘定
      ☆「期末製品棚卸高」勘定
      ☆「期末仕掛品棚卸高」勘定


  月次棚卸をしていない企業の場合、つまり、
  売上原価が確定されていない試算表には、
  すでに月次B/SやP/Lとして機能はありません。

  勘定科目別の残高や金額増減の情報を、
  会計にもとづき分類された 「単なる集計表」です。
  このような集計表が翌月以降に提供されても、
  もはや経営には使えません。
  せいぜい「先月は交際費をいくら使った?」を見る程度でしょうか。

  このレベルの試算表は、会計事務所が決算や
  税務申告業務を楽にするための
  前準備としての役割にしか過ぎないのです。

 

  そこで、試算表を経営資料として活用するために
  会計事務所が行なっている
  「月末の棚卸を概算で計上する方法」を紹介します。

   ☆仕入や売上の状況から月末の棚卸増減を算出する方法
   ☆予定の平均売上原価率などから棚卸を逆算推計する方法
   ☆棚卸回転期間から月末在庫を推計する方法


  などがあります。簡便的に行なうこれらの「推計棚卸」は、
  「仮に当月がこの原価率で推移した場合に…」というように、
  それぞれの前提条件のもとに成立します。

  部門別やグループ別などで行なえばさらに精度がアップします。
  そして、これだけでも試算表の信憑性は一段と高くなります。

 
  しかし、FC(全部原価)での原価計算が義務付けられている
  製造業にとって、 「売上原価率」による方法は使えません。
  非科学的なFCによる原価計算では、
  この先の予測はもちろん、当月の概算利益の算出すら
  不可能なのです。

  そこで変動費率を使って製品棚卸の推計を行ないます。
  そして「変動費率を使う方法」がまさにDC(直接原価)なのです。

  一部の有名な企業で行なわれている
  「期中ではDCで利益を計算し、本決算では(しょうがなく)
  FCで税務申告する」というやり方の応用です。
  もし毎月、FCによる利益計算をしている製造業では
  この機会にぜひDCによる利益の計算をお勧めします。


  なぜDC(直接原価)が良いかって?

  先々の利益を予測するのが「カンタン」だからです。
  経営が「分かりやすくなる」からです。
  そして変な理屈がいらない「シンプルさ」が
  実は「科学的(数学的)」ということなのです。

  しかし残念ながら「こんな簡単な理屈」であるが故に、
  多くの会計人はなかなか理解できないのですね。

  カンタンなものをカンタンに説明すればいいだけなのですが、
  カンタンなものをムズカシク言いたがるのが
  どうやら会計人の特徴のようです。


  会計事務所にとってこれらのことは、
  試算表を経営に活用する上では最低限、
  当たり前のアドバイスです。

    ☆うちの税理士は何も指導してくれないよ!
 
  残念ながら何もしてくれない税理士が多いのも事実ですよね。
  まさに報酬値下げ交渉の格好の材料かもしれません。
 

 

 

 


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